大学連携・学生受入

学生からの声 - 特別研究生 -

NTAアミドを用いた、アクチノイド、FPの一括回収および逆抽出と、3級ピリジン樹脂を用いた白金族元素相互分離の複合プロセスの構築
(原子力基礎工学研究センター 分離変換技術開発ディビジョン 分離変換サイクル開発グループ)



嶋崎 翔馬さん(東京工業大学大学院 理工学研究科 原子核工学専攻)


嶋崎 翔馬さん

東京工業大学大学院 理工学研究科 原子核工学専攻

◇現在の研究内容について教えてください。

我々は従来検討されてきた群分離プロセスである4群群分離プロセス(旧原研)に代わるものとして「単サイクルプロセス」の開発を検討しています。

本プロセスは4群群分離プロセスと同様に、高レベル廃液中の種々の核分裂生成物を核変換、中間貯蔵、資源利用等の目的別に群分離するものですが、その分離方法は4群群分離と異なり、1種類の抽出剤にて対象元素を一括抽出し、その後の逆抽出によって元素分離を行います。

本プロセスの対象元素はPd、Ru等の白金族元素です。これらの元素は高レベル廃液のガラス固化プロセスの阻害元素となる一方、資源として高い価値を持つレアメタルでもあります。

本グループは現在、単サイクルプロセスの採用を検討しているトリアミド型の抽出剤を用いて上記の元素に対する抽出能を評価するとともに、種々の試薬を逆抽出剤として用いた場合の抽出能の変化を評価することにより有望な逆抽出剤を検討する研究をしています。

◇研究していて最もやりがいを感じることは何ですか?

「実験計画は結果をある程度予想しながら立てています。しかし、実際に実験してみると予想に反したデータが得られることがしばしばあります。それらのデータをじっくり考察し、データが提示する意味を解明できたときに最もやりがいを感じます。

◇研究する上で特に「こだわり」があれば教えてください。

少しの濃度調整のミスが分析結果に大きな影響をもたらすため溶液を調製する時は特に注意して正確に行うよう努めています。

◇嶋崎さんは平成26年度に原子力機構の夏期休暇実習に参加されていましたが、それは平成27年度特別研究生への応募とどのような関係にありますか?

学部生だった頃の専攻が化学系でなかったことから基礎的な分析化学の知識と実験技能を習得したいと思って平成26年度の夏期休暇実習に応募しました。

特別研究生の制度については夏期休暇実習期間中に実習担当者の佐々木さんに教えていただきました。

当時は特別研究生へ応募することについて迷いましたが、夏期休暇実習が終了し、大学の研究室に戻って研究しているうちに、再び原子力機構で研究してみたい気持ちが強くわき起って来たので平成27年度の特別研究生に応募しました。

◇大学での研究内容と原子力機構での特別研究生としての研究内容との関連性について教えてください。

大学ではピリジン型のイオン交換樹脂を用いてカラムクロマトによる白金族の吸着及び脱着による回収をテーマとして研究を行っていました。原子力機構ではカラムクロマトではなく、溶媒抽出法を用いて大学で実施していた研究よりもより効率的な白金族元素の回収について研究しています。

◇研究していて行き詰った場合、どのようにそれを克服していますか?

例えば、予想外の実験結果が出て考察に苦労したり、今後どのような実験を行うべきか迷ったりと、どうしても研究に行き詰るときがあります。そういったときは、迷わずに周囲の研究者の方々に相談して解決を試みるようにしています。

そうすることで、自分が考えていたこととは違う切り口からアドバイスを頂けることが多々あり、非常に参考になっています。

◇将来はどのような研究者になりたいですか?また、研究する上での大きな目標や夢があれば教えてください。

来年度から民間企業の原子力事業部にて開発業務に携わる予定です。まだ具体的にどのような分野の開発業務を行うか分かっていませんが、従事する開発分野のスペシャリストになりたいと思っています。

◇これから特別研究生に応募しようと思っている方へアドバイスがあればお願いします。

原子力機構でどのような研究をしたいか、それが大学の研究とどのような関連があり、大学の研究にどのように活かすことができるかといったことについて具体的なイメージを持って行動すれば実り多い研究生活になると思います。



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