大学連携・学生受入

学生からの声 - 夏期休暇実習生 -

原子炉構造材料の強度特性変化に及ぼす高温熱履歴の影響評価
(原子力基礎工学研究センター 燃料・材料工学ディビジョン 照射材料工学研究グループ)


澤 厚貴さん

北海道大学大学院 工学院 材料科学専攻

◇志望理由と実習内容について

僕が所属する大学の研究室は原子炉材料や核融合炉材料の研究をメインに行っており、自分もイオン照射を施した鉄系材料の強度特性変化を調査する研究を行ってきました。そのような状況の中で担当教授から今回の夏期実習について聞き、かねてから研究所の仕事に興味があったこともあって実習に参加させていただくことにしました。研究室のOBの方が実習の担当者であるということもとても心強く、実習に参加するきっかけの一つになりました。

実習テーマは、「原子炉構造材料の強度特性変化に及ぼす高温熱履歴の影響評価」でした。福島第一原発事故のようなシビアアクシデントを経験した原子炉において、その構造材料の多くは設計で想定していた温度以上の高温にさらされることになります。その中でも、特に照射による損傷を受けた炉心近傍の材料には著しい強度特性変化が生じます。この予想を確認するため、あらかじめイオン照射で照射損傷を与え、原子炉炉心近傍で使用されていた構造材料の強度特性変化に及ぼす高温熱履歴の影響について調べました。具体的には、軽水炉材料として用いられているSUS316Lにイオン照射材を施して照射損傷を与え、熱処理を施し、微小硬さ測定、FIBによる試料調整、微細組織観察などを行いました。

◇困難に直面した時にどう対応したか

受入担当の方をはじめ、多くの原子力機構職員の方々がサポートしてくださったので困難という困難は経験しませんでした。ただ、不慣れな装置のオペレーションを体験させていただく時に、操作に戸惑ったり、上手くいかなかったりしたこともありました。特に、FIBを用いたTEM観察用の試料調整の際、教えていただいたことをスムーズに実行できないがために時間を浪費してしまいました。しかし、これもやはり熟練のオペレーターの方が丁寧に手順を説明してくださり、途中からまがりなりにも自分だけで操作ができるまでになりました。

◇思い出に残ったこと

実習を開始した週の水曜日の夜、グループの方々に焼肉をごちそうになりました。お酒を飲みながら様々なお話を職員の方々からお聞きすることができました。研究者としての生活のことや、良い論文の選び方や読み方、自分にとってはこれから始まる就職活動において大切なことなど、とても貴重なことを教えていただきました。また、実習に来ていたほかの大学の学生とも交流することができ、普段の生活からは得がたい経験をさせていただきました。

ほかにも、実習のノウハウを学ぶことができたのが大きな収穫でした。普段研究室で同じような実験をやっていても気付かなかった工夫や設定があり、刺激を受けました。今後の研究に是非役立てたいと思います。

◇特にお伝えしたいことがあれば御自由にどうぞ

実習を担当していただいたグループの職員の方々には大変お世話になりました。実験の手順から説明から寮の手配や休日の観光まで、色々と面倒を見ていただきました。本当にありがとうございました。この実習で得た経験を今後の研究に役立てていきたいと思います。



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