大学連携・学生受入

学生からの声 - 夏期休暇実習生 -

燃料デブリの臨界安全評価を目的としたBWR燃焼燃料組成の評価と臨界計算
(原子力基礎工学研究センター 核工学・炉工学ディビジョン 炉物理標準コード研究グループ)


春藤 史帆さん

東北大学大学院 工学研究科 量子エネルギー工学専攻

◇志望理由と実習内容について

原子力発電により発生する使用済み燃料を地層処分する方法のうち直接処分という方法がありますが、使用済み燃料には核分裂性物質であるウランやプルトニウムが残存しています。そこで、処分体系内外での臨界安全性の評価を行うことが必要になります。臨界評価の際には使用済み燃料の構成要素となる燃焼燃料組成が必要であり、これは燃焼計算コードを用いた燃焼計算によって得ることができます。この燃焼計算コードを使用し処分体系を模擬することで、その体系での中性子増倍率の計算を行うことができるため、臨界性の評価が可能となります。使用済み燃料の処分体系での中性子増倍率はその周囲の環境や状況により変化するため、その体系の環境変化が臨界性に与える影響を調査したいと思い、この実習を志望しました。

実習では、炉心解析における燃焼計算の概要や炉物理に関する講義、さらに燃焼計算コードSWAT4やMVPに関する講習会に参加し、それぞれの計算コードの概要や使用方法などを学びました。そして、それぞれのコードについての入力データの解説や計算の実行を経て、解析対象として決定した体系に対する入力データの作成を行いました。また、9×9のBWR燃料集合体においてある燃焼度に対する使用済み燃料の組成をSWAT4コードにより算出し、得られたデータを作成した入力データ内の解析対象の核種の数密度データ部分に入力することにより、解析対象となる体系の実効増倍率を計算して臨界性の評価を行いました。得られた結果のまとめと考察を行い、最終的に実習内容及び結果を発表し、受入課室の方々から様々な意見をいただきました。また、実習期間中には夏期休暇実習生学生懇談会が開催され、そこでは原子力機構の研究開発の全体像や、現在働いていらっしゃる方々の研究開発現場や生活状況を聞くことができ、また、原子力科学研究所内の巡回見学をし、原子力機構をさらに知る良い機会となりました。

◇困難に直面した時にどう対応したか

本実習では燃焼計算や中性子増倍率の計算のために入力ファイルを作成する必要があるのですが、私が作成した入力ファイルに誤りがあり、気付かずに計算を続けていたことがありました。入力の間違いに気付いたのはだいぶ後で時間的に余裕がなくなってしまい、そのことを相談したところ、機構の職員の方は真摯に対応してくださいました。その結果、無事に実習を進めることができました。また、機構の職員の方々だけでなく、同じ時期にいらっしゃった学生の方にもアドバイスをいただき、実習を終えることができました。たとえ困難に直面しても独りで抱え込んで解決しようとするのではなく、周りの方々の意見や協力を得ることも重要であると実感しました。

◇思い出に残ったこと

機構の職員の皆様やほかの学生の方々から、様々なお話を聞くことができたのは良い経験になったと思います。原子力機構や専門的なことだけでなく、茨城県や東海村の特色や名産品に関することなど、その地域の方ならではのお話で、非常に興味深かったです。そのお話を聞き、さらに夏期休暇実習生学生懇談会で観光用のパンフレットをいただいたこともあり、週末には茨城の観光をしました。果物や海産物などの食べ物がとても美味しかったことは非常に印象に残っています。実習以外にも様々な経験ができ、大変充実した夏期休暇実習だったと感じています。

◇特にお伝えしたいことがあれば御自由にどうぞ

この夏期実習では大変貴重な経験をさせていただきました。夏期休業中に充実した学びを得たいと考えている学生の方や、研究機関に興味のある方には是非とも参加していただきたいと思っています。目的意識を持って参加することでより充実した実習となると思います。私は大学では得られない様々な専門的知識・考え方から機構内外での日常的なすごし方まで御教授いただきました。また、修士課程卒業論文に生かせるような勉強もさせていただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。



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