大学連携・学生受入

学生からの声 - 夏期休暇実習生 -

超重元素の化学的研究
(先端基礎研究センター 重元素核科学研究グループ)


三仙 幸将さん

九州大学大学院 総合理工学府 先端エネルギー理工学専攻

◇志望理由と実習内容について

私は現在、医療用放射性同位体の合成に関わる研究をしています。この研究テーマは修士課程に入ってから始めたものであり、知識や経験も浅いため、貴機構での夏期休暇実習を通して自分の研究に対しての理解を深めたいと思ったのが応募したきっかけでした。原子力機構で募集されている実習分野・テーマは非常に幅広いですが、その中から自分に合ったものを探すことができました。私の研究は、RIの合成までの部分しか基本的に扱いませんが、実際に医療用のRIを提案するには合成から更にその先の分離・精製のプロセスまでを考えなければなりません。前者の過程では物理的、後者では化学的技術を要します。そこで、普段の自分の研究ではなかなか触れることのできない化学分離について興味を持ち、今回の私の実習テーマである「超重元素の化学的研究」を志望しました。

医療用RIの合成に関する研究は、大学や研究所だけでなく病院や企業でも広く行われています。そうしたそれぞれの視点からの研究背景や手法、課題を知ることはとても勉強になりました。実際に化学分離技術に関する実習として、Th-229試料からRa-225/Ac-225を分離する手法を学びました。目的とするAc-225は治療用のα線放出核として現在研究されている核種でもあります。普段は、論文等でしか知ることができないこうした技術を目の前で実際に自分の手で行うことは非常に貴重な経験であり、刺激的でした。しかし、対象となる物質が放射性同位体ということもあり、その取扱いには常に注意を払う必要があり、そういった点で普段ならあまり気にしないような細かい部分も常に考えて行動しなければなりませんでした。

また、本実習では実験だけでなく、原子力機構が世界に誇れる実験装置や施設等も多く見学することができました。自分の普段の研究ではこうした大型の実験装置(加速器等)を使う機会は少なく、そうした研究施設や実験設備を実際にじっくりと見ることができたのにはとても感動し、また感謝しています。

今回の実習で得られた経験はどれもここでしか得られないようなものばかりであり、大学に戻ってからもこの経験を生かしてさらに自分の研究に打ち込み、邁進していこうと思いました。

◇思い出に残ったこと

本実習では、普段の自分の研究では直接は触れることのできない部分について学ぶことができました。扱う道具もそこで留意すべき点も今までと異なる部分があり、実際に自分の手で作業し、考えながら進めていくことはとても新鮮であり、今後の自分の研究に生かしていこうと感じることができました。

また、実習期間中に開かれた夏期休暇実習生学生懇談会もとてもためになりました。原子力機構全体のことやそれぞれの研究分野で行われていることはもちろん、研究や開発現場で働いている方の経験やそこでの実際の生活の流れといった普段は知ることのできない生の声を聞くことができたのはとても印象に残っています。職場やそこで働く方の明るい雰囲気を自分の肌で感じることは、実習等を通して実際に来てみなければ分からなかったと思います。それと同時に、ほかの大学等から来た自分とは異なる専門を持つ実習生と出会い、交流をすることで互いに刺激を受けることができたのも非常に良い経験であり、大学に戻ってからのモチベーションの向上にもつながりました。

◇特にお伝えしたいことがあれば御自由にどうぞ

本実習では私の実習担当の方を始め多くの方のお世話になりました。実習の受け入れ期間や、実際の実習内容といった部分も最初の募集内容に縛られることなく柔軟に対応していただきました。私が充実した夏期休暇実習を行うことができたのはそうした方々のお陰であり、とても感謝しています。

実習では、研究に関することやそれ以外の多くのことに触れ、様々な刺激を受けながら学ぶことができました。今回の経験は本当にこの実習でしか得ることができない貴重なものばかりだったと思います。ここでの経験を大学に持ち帰り、今後の自分の研究に生かしていきたいと思います。



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