大学連携・学生受入

学生からの声 - 夏期休暇実習生 -

マイナーアクチノイドを含む高速炉MOX燃料の照射挙動評価及び燃料製造施設の安全性評価
(核燃料サイクル工学研究所 プルトニウム燃料技術開発センター 燃料技術部 設計解析課)


三浦 祐典さん

福井大学 工学部 材料開発工学科

◇志望理由と実習内容について

私は今、原子力の研究と勉強をしており、将来は原子力について研究ができる仕事に就きたいと思っています。2011年の福島第一原子力発電所の事故を受けて、「原子力」について正しい知識を身に付けたい、そこからこれからの原子力がどうあるべきかを自分なりに考えたい、と思って夏期休暇実習に参加しました。

実習ではマイナーアクチノイドを含む高速炉MOX燃料の照射挙動評価及び燃料製造施設の安全性評価の一貫として、中性子線・ガンマ線遮蔽評価コードシステムを用いた中性子線スカイシャインベンチマーク計算を経験しました。スカイシャインとは、核燃料施設から直接壁を通過した放射線ではなく、天井から漏洩した放射線が大気中の空気と散乱して再び地上へ降ってくる放射線のことです。スカイシャイン線の評価は、核燃料施設の周りに居住する人々の被ばく量の評価の対象の一つになっていて、施設はこの評価値が十分低くなるように設計されているそうです。今回は東京大学弥生炉をモデルとして、中性子線・ガンマ線遮蔽評価コードシステム「NPSS」というものを用いて中性子線スカイシャインベンチマーク計算を行いました。弥生炉周辺の環境を様々な条件に設定して、環境によるスカイシャインの線量率の変化を評価したり、スカイシャインの線量率と線源からの距離の関係についての評価をしたりしました。

また、実習中に施設見学をする時間がありました。プルトニウムは、核兵器に転用される恐れがあるため、その取り扱いは大変厳しく管理されており、プルトニウムを扱えるのは、日本では私が実習した部署がある施設だけのようです。施設見学ではMOX燃料ペレットを製造する施設や廃棄物を処理する施設を見学しました。

◇困難に直面した時にどう対応したか

今回の実習では初めて知る用語が多くありましたが、実習担当の方が一つ一つ丁寧に教えてくださったので、全体像は掴みやすかったです。しかし、実際に解析してみると望まれる結果や想定される結果とかけ離れた解析結果が表示されてしまうことがありました。その時は自分の分かる範囲でプログラムを訂正してみましたが状況を改善できないことが多く、その度に実習担当の方に相談しました。実習担当の方は私が入力したプログラムを見直すだけでなく、より精密な解析ができるように計算領域の細分化、入力データの改善などといった様々なアドバイスをくださったので大変心強かったです。

また、実習の終わりに解析結果をまとめた報告書を提出しましたが、私はまだまだ実験レポートの作成に不慣れで、まとめ方、特に文章の表現の仕方には苦労しました。実習担当以外の方々も文章の書き方、図や表の使い方などについて指導してくださり、大変勉強になりました。

◇思い出に残ったこと

私は普段、実験をして得られた結果から考察することをしているために解析はほとんど未経験でしたので、解析は実験と異なって体を動かさずに結果を得ることができることは、私にとって奇妙な感覚でした。目で経過を確認できない分、解析結果の正誤を判断することは難しいと思いましたが、実習を通じて様々なシミュレーションを短時間で行うことができる解析に魅力を感じました。実習では、四つの状況を設定して解析を行いましたが、紆余曲折があったものの、比較的短時間でデータをそろえることができたことが深く印象に残っています。

施設見学ではMOX燃料ペレットを製造する施設内に製造工程を説明したビデオがあり、大変勉強になりました。施設内の個々の設備について説明を受け、設備の規模の大きさに圧倒されました。

実習中、機構の方の仕事のお話を聞く機会があり、将来のことを考える上でも大変参考になるお話やアドバイスをいただき、貴重な時間をすごすことができました。

◇特にお伝えしたいことがあれば御自由にどうぞ

この実習には、将来、機構に就職したい、大学の研究内容のヒントを得たい、機構の様子を知りたいなど、様々な理由を持った方が参加されているそうです。私の場合は機構の様子を知りたい志望理由でしたが、実際に目で見ることで発見したことがたくさんありました。

施設見学では設備の充実した内容に驚かされました。初めて見る機械も多く、良い勉強になりました。また、設備や施設の管理体制など普段目にすることのできないものを目の当たりにできて、貴重な経験になりました。

職員の方々は個性的で楽しい方が多く、とても接しやすかったです。分からないことの方が多かった私ですが最後まで丁寧に教えてくださいました。実習内容は一見すると難しそうな内容でしたが、職員の方が最後まで面倒を見てくださったので比較的参加しやすい実習であると思いました。

実習は普段できないことを経験させていただける場でした。解析がその最たるものでしたが、そのほかにもプロ視点の報告書の書き方、発表の仕方など、今後、卒業論文などの執筆を控えている私にとって非常に参考になる場でした。私は1週間という短い期間の実習でしたが、期間以上のものを得る事のできた実習でした。



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