大学連携・学生受入

学生からの声 - 夏期休暇実習生 -

SiC材料の機械的/物理的/化学的特性と微細組織に関する研究
(六ヶ所核融合研究所 核融合炉材料研究開発部 核融合炉構造材料開発グループ)


成田 和章さん

九州大学大学院 総合理工学府 量子プロセス理工学

◇志望理由と実習内容について

来年に就職活動を控え、大学の友人に紹介されたリクルーターの方に自己分析を行ってもらう機会がありました。そのことがきっかけで、大学院に進学して学んだことを生かしながら生まれ育った青森県で働きたいという思いを持ちました。そこで青森県での研究職について調べていたところ、ちょうど大学に夏期休暇実習の案内が来たので志望しました。

私は、普段、核科学とは無縁の液晶材料の研究をしていますので、この実習テーマの実験目的や測定で使用する機器の動作原理などについて全く理解していなかったので、今回の実習内容についていけるかどうか一抹の不安がありました。しかし、実習担当の野澤さんはそのことをきちんと理解してくださった上で初日に丁寧な説明をしてくださり、実習を始める前に大まかな研究の目的や概念を理解することができました。また、分からないことを質問すると研究グループのほかの方々もとても親切に対応してくださったので、安心して実習することができました。

そのようにして臨んだ実習は、SiC/SiC複合材料を切断、研磨して曲げ試験した結果をSEM観察及び光学顕微鏡を使用して物性を評価するというものでした。SEMや光学顕微鏡は目にしたことや使用したことがありましたが、曲げ試験は全くの未経験でした。そうして臨んだ曲げ試験ですが、試験自体は予想していたより簡便な操作で行うことができました。しかし、得られたデータを解析し、必要な値を計算することが非常に困難でした。解析方法から導いた値の見方まで、まったく理解できなかったからです。しかし、社会人ましてや研究者を志すならば分からないことに遭遇するのは当たり前のことで、野澤さんから渡していただいた論文を元にひととおり自力で解析しました。こうして導いた解析結果はあとでグループの方に添削してもらったところ、多くの間違いを含んでいましたが、自力で格闘したおかげで間違いを指摘された時にスムーズに理解できました。

最後に、実習を通じて分からないこと・慣れないことに挑戦し、思考し続けるグループの方々の姿勢を見て、そして私自身も一週間という短い期間ですがその空気を体験することで今後の研究生活を過ごす上での財産を得ることができたと感じています。

◇困難に直面した時にどう対応したか

曲げ試験のデータ解析が本研修での最大の困難でした。

私は材料強度の知識に関しては全くの素人でしたので、そこに甘えてすぐにグループの方々に助力をお願いしようとも考えましたが、自分なりに考え、自己の不明な点を理解した時点でグループの方に自ら積極的に協力をお願いしました。おかげで、より理解が進み、困難を乗り越えることができました。

◇思い出に残ったこと

六ヶ所村に入るとすぐに石油備蓄基地、一面に広がる風力・太陽光発電施設、核燃料サイクル工場、そして今回研修で参加した核融合科学センターなど、普段目にすることができない最先端のエネルギー政策を身近に観察することができたので感激しました。また、建設関係のトラックが連なって作業しているのを見て、町自体が拡大し続けているのだな、と将来性を感じました。

実習担当の野澤さんの丁寧な解説で内容を理解し、楽しく実習をすることができました。解説がどれだけ丁寧かというと、並んでいる機器一つ一つの前で説明をしてくださり、質問をすると質問した以上の詳細な説明をしてくださいました。一方で研究職につく人はそれだけ博識なのだな、と自分の勉強不足を感じました。

人も街も進化を続けている、そんな印象を六ヶ所村全体から感じエネルギーをもらいました。また是非とも訪れたいと考えています。



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